【ソロ登山テント泊】 これは失敗したなぁというモノ スノーピーク * Snow Peak シングルチタンマグ300 <小さすぎて出番なし>
このシリーズでは、奥多摩の低山でテント泊登山をする私が、登山を始めるときに買って「失敗したなぁという」という装備品や道具を紹介するものです。初心者のときは経験がないので、商品自体が悪いというよりも、選定の考え方に問題があったなぁと思い返しています。
この記事の内容を動画にもまとめてみました!
これは失敗したなぁという登山用マグカップ
登山では水場で水を汲んで飲んだり、沸かしたお湯でコーヒーや紅茶を飲んだり、スープを飲んだりとマグカップは必ず使う道具です。私も登山を始めるときには利用頻度が高いことが予想されるので、ある程度高価でもいいかなと思って、スノーピークのチタンマグを2種類のサイズで買いました。
ですが、後々になってそのうち一つは「いらなかったなぁ」「失敗したなぁ」と思っています。
スノーピーク(snow peak) チタンシングルマグ
このマグカップは、どんな登山用品店にも置いてある定番中の定番のシングルマグです。
”金属製のマグカップ”ということだけで考えれば、この価格というのはクッソ高いですよね。ステンレス製のマグカップであれば100均でも売ってるわけですから単純に十数倍の価格差です。
ですが、それは平地での話です。登山ではできる限り軽量かつコンパクトで頑丈で、一つの製品でいくつもの役割をこなせることが求められます。
スノーピークのチタンシングルマグは、それらの要素をすべて備えています。
- チタン製で超軽量・頑丈で変形しない
- 持ち手が折りたためる上にリベット固定なので熱を加えても壊れない
- 直火で加熱できるのでお湯を沸かせる
チタン製で超軽量なうえに、頑丈で例えザックに詰めた状態で枕代わりに頭を乗せたとしても変形しません。
持ち手は、折りたため、異なるサイズのマグカップを重ねてコンパクトに収納することもできます。
さらに、持ち手がはんだ付けではなくリベット留めなので、直火にかけても破損せず、お湯を沸かすことができ*1ます。 私は、この”直火で直接加熱できる”というのが、単なる金属製マグカップに対する最大のアドバンテージだと思います。
マグカップで直接お湯を沸かせるというのは非常に便利なことです。単純にお湯を沸かすためにコッヘルやクッカーを使用する必要がなくなりますので、マグカップでコーヒー用のお湯を沸かしながらコッヘルで調理するといったことができますし、コッヘルに料理が残っている状態でもお湯を沸かすことができます。
もし調理をしないような日帰り登山であったら、コッヘルやクッカーは必要なく、このシングルマグカップだけでカップヌードルもコーヒーも楽しむことができてしまいます。
道具一つ節約できれば軽量化に非常に貢献するので、かなり有用な道具だといえます。
シングルチタンマグは、いわば”サブのクッカー”として機能するのです。
価格は非常に高いですが、それに見合った使い勝手があり、非常に人気の高い商品です。
チタンシングルマグの何が失敗だったのか
毎度のことなのですが、こういった登山用品店で販売されている有名ブランドの定番品には、商品自体に悪いところというのはほとんどありません。
今回も失敗だったのは商品自体ではなく、この商品を買うときの想定が甘かった私の判断の失敗だったと思います。
さて、それでは何が失敗だったかというと
ソロ登山メインなのに2種類のサイズを買ってしまった
ということになります。
私はこのスノーピークのシングルマグを二つ同時に買いました。
ひとつは300ml、もうひとつは450mlのサイズのものです。
購入時からお湯を沸かすためのケトル的な使用を想定していましたので、カップヌードルなどのを作ることを考えると450mlのサイズは絶対に必要だと考えていました。
では、300mlは何用だったのでしょうか? ソロ登山がメインの私がなぜ二つもマグカップを買う必要があったのでしょうか。
今になって冷静に考えると結局のところ300mlのサイズを買ったのは
”スタッキング”したいから
ということになろうかと思います。
”スタッキング”というマジックワードが判断を狂わせる
このスノーピークのシングルマグには、220ml,300ml,450ml,600mlのサイズがあり、下のサイズが一つ上のサイズの中にちょうどピッタリ収まるよう設計されています。なので、極端に言えばすべてのサイズのマグカップを一番大きな600mlのサイズにすっぽり収納することができるということになります。
こういった入れ子状に収納してコンパクトにできることをよく”スタッキングできる”といいます。これはアウトドアグッズでは広くみられるマジックワードです。
非常に”合理的”で”システマチック”に見えるんですよね。そして、男はそういった売り文句に非常に弱い。
登山やキャンプ用品にはこういった、特有の”ギミック”や「ほう」と思わせる工夫が盛り込まれていて、ある種の”ワクワク”感を巧みに誘ってきます。
これがグッズ購入を促進する原動力であり、いわゆる”道具沼”と呼ばれるグッズマニアを生むものなんだと、経験を積んだ今になると冷静に見られます。
本当は単に”スタッキング”したいだけで買ってますが、後からいくらでも言い訳を考えることもできちゃうのがまたよくないです。「片方でラーメン、片方でコーヒーが作れるし、もしかしたら二人で登山することもあるかもしれない」といった具合です。
私の友人も全く同じこと言っていました。 人間は”言い訳”を考えるのは非常に得意だといいます。頭がフル回転するんでしょうね。
誰にでもパッと思い浮かぶように売り文句を仕込んであるメーカーもなかなか巧みです。
さて、少し脱線しましたが、”スタッキング”してみたいがために、300mlと450mlのサイズのマグカップを買った私なのですが、その後は結局のところ300mlの方は、450mlに比べてほとんど使うことがありませんでした。
なぜ300mlのマグカップはいらない子になってしまったのか 小さすぎ
もともと必要ないものを買ってしまうのがそもそもの失敗ではありますが、ではなぜ300mlと450mlのサイズのマグカップのうち、300mlを使わなくなったのでしょうか。
一般的にマグカップは、200mlから300mlの容量が普通で、450mlというサイズは大きすぎるように感じます。
ですがそれは平地での話でした。
登山では300mlのサイズでは二つの"足りない”ものがあるということが後々になってわかりました。
次の二つです。
- ラーメンに足りない容量
- 底面のサイズが五徳に足りない
まず、カップヌードルの必要湯量は、通常サイズで290ml、BIGサイズの必要湯量は410mlです。300mlのシングルマグではカップヌードルBIGの必要な湯量を沸かせないということになります。そして通常サイズの湯量もギリギリですので、お湯を沸かすときにボコボコ沸かしたらこぼれちゃいます。
もちろんインスタントのカップスープくらいにはちょうどいいサイズかもしれません。ですが、カップヌードルを作れないようでは300mlのシングルチタンマグは”サブのクッカー”としては役不足です。
一方で、450mlのシングルチタンマグはちょうどいいサイズでまさに”サブのクッカー”となり得ると言えます。 実際、450mlのシングルチタンマグは私は一泊登山はもちろんのこと、日帰り登山やキャンプでもヘビーユースしています。
次に、五徳(ごとく)に載せづらいという問題があります。300mlのシングルマグの底面は結構狭いです。なので、軽量な小型バーナーなどの五徳に載せたときに安定性がないです。
またモノによっては全然とか、かなり不安定に引っかかるくらいの場合もあり得ます。
例えば、私が愛用しているエスビットのポケットストーブだと、かろうじて載せることができるくらいで、ちょっとずらすと倒れてしまうくらいの不安定さです。
これでは決定的にサブのクッカーとしては使えません。
そして、このスノーピークのシングルマグの最大の利点である「直火できる」というメリットが機能していないことになりますので、ならこんなに高額なチタンでなく100均のステンレス製のマグカップでいいんじゃないと思わざるを得ません。
「連れが来るかも?」という言い訳は成就しない マジックワードに踊らされるな
最後は笑い話ですが、スノーピークのチタンシングルマグを2つ同時購入するときの”言い訳”として、「もしかしたら”連れ”が来るかも?」的なことを、淡い期待とともに考えていたのですが、実際にはほとんど来ませんでした。
私の今の妻が来るかなと期待していたのですが、
結局全然登山には興味がないようで一度も来てくれませんでした。 \(^o^)/
キャンプでは何度か使ったのですが、はっきり言って”チタン製”である必要が全くありませんでしたね。
男友達や会社の同僚と登山することもありましたが、そういった誘いに乗ったり誘ってくる人はだいたい道具を持っているものです。それに、2人で行くのであれば片方は100均でも紙コップでも問題ないと思います。
結局のところ私も”スタッキング”というアウトドアグッズ業界お得意の「マジックワード」にやられたといった感想です。
チタン製品は結構高価です。ついつい同じブランドで二つそろえてしまいたくなるところですが、出費も倍になります。買うのは”連れ”がいざ来ることが決まってからでも遅くはありません。
本当に二つ必要なのか?チタンじゃなきゃダメなのか?スノピじゃなきゃだめなのか?100均ではだめなのか?と自問自答することがいわゆる”アウトドアグッズ沼”にはまらずに賢く装備をそろえるコツだと思います。